雲子春秋

「うんししゅんじゅう」です♡ 三国志とか好きです♡

曹操は自ら王となる?

後漢書三国志では同じ事でも書き方が違うことがある。
その一例。


曹操が司空になったとき

三国志
天子拜公司

後漢書
曹操自為司空


曹操冀州牧になったとき

三国志
天子以公領冀州

後漢書
曹操大破袁尚,平冀州,自領冀州牧.


曹操が丞相になったとき

三国志
以公為丞相.
注)使太常徐璆即授印綬

後漢書
曹操自為丞相.


何が言いたいかというと『後漢書』は曹操が官位についたのを曹操が“自ら”なった事にしているのだ。
例え太常の徐璆が使者として曹操印綬を渡したという史料があってもである。


さらに、『三国志』に献帝の1197字*1に及ぶ布告*2が記されている魏公就任も、『後漢書』にかかればこの通り

曹操自立為魏公


当然、『三国志注』に496字の詔が記載される魏王就任*3も『後漢書』は相変わらず

曹操自進號魏王.


つまり後漢書曹操の官の正統性を認めていない。
後漢書的には勅書があろうとも武力や勢力を背景にした官位や爵位は正統とは見なしていないのであろう。


他にも献帝紀では董卓や李カク、郭汜も“自ら”官位についたと書かれる。*4
彼らも武力や勢力を背景に皇帝を傀儡とし、官位を欲しいままにしていた人々である。



結局曹操後漢書的正統性においては彼らと同レベルなのかも。

*1:句読点を抜いてワードでカウントした

*2:使者は御史大夫郗慮

*3:使者は宗正劉艾

*4:このほか袁紹の大将軍就任なんかも“自ら”がつく