投資家麋竺
お久しぶりです。本当は漢文講座の続きを書く予定だったけど、上手くまとまらなかったのでまた後日。
さて、麋竺が富豪であったことは知られている。
『三国志』の本伝には、先祖の代から貨殖に努めて巨億の資産を持つに至ったと書かれている。
そして、あまり史料的価値はない『太平広記』には次のようにある。
麋竺は“陶朱公の計術”で日に億万の利益を得て、財産はまるで王侯のようだったというが、この“陶朱公の計術”とは何であろうか。
陶朱公とは、臥薪嘗胆などの故事でも有名な呉越の戦いに登場する越王句践の部下の范蠡のことである。
范蠡は呉に勝利した後、越を去って商人となり、巨万の富を築いた。
その方法は次のようである。
『史記』卷四十一 越王句踐世家
復約要父子耕畜,廢居,候時轉物,逐什一之利.居無何,則致貲累巨萬.天下稱陶朱公.
安い物を買い入れておき、時期を待って高くなると売る、今でいう投機である。
おそらくこの方法が、“陶朱公の計術”なのだろう。
麋竺は投資家だったのだ。
麋芳「兄さん、京師で地震が」
麋竺「木材、鉄鋼が値上がりするぞ。買い入れておけ。」
みたいな会話が繰り広げられていたりして・・・。
劉備に娘を嫁がせたのも、呂不韋的な発想があったのかもしれない。
麋竺がひたすらマネーゲームを行う三国志作品を誰か書かないかな(需要ない!?)
そして“麋竺”の“び”は「糜」なのか「麋」なのか・・・。
追記)集解によれば「麋」が正しいっぽいので直しました。