雲子春秋

「うんししゅんじゅう」です♡ 三国志とか好きです♡

盗賊さん、五千銭盗り忘れてますよ!

『太平御覧』巻八百三十六、銭下の引く『豫章列士伝』
施陽字季儒、為舒令。經江夏、遇賊劫奪陽物。賊去後、車上有五千錢、遣人追與。賊聞知、悉還其物、陽以付亭長。

『古今図書集成』学行典二百三十四巻に引く『南昌郡乘』
施陽,字季儒,豫章人。以德行聞,漢末為舒令之官,道經江夏,時寇盜方熾,陽遇劫,奪盜已去,陽視車席下尚有錢五千,追以予盜,盜愧其義,悉以所掠還之,陽謂其已汚,拒不肯受,付亭長而去。

後漢末、豫章には施陽という人がいた。
舒の県令になり江夏を通った際、盗賊にあって財物を強奪されてしまった。
施陽は馬車の下に隠れて難を逃れた。
賊が去った後、馬車の上に五千銭が盗みを逃れているのを発見すると、人をやって賊をおわせ、その五千銭を賊に渡した。
賊は恥じて、強奪したすべてのものを施陽に返した。
施陽は受け取りを拒んで、亭長に渡して去ったという。


ぐう聖。
わざわざ盗賊に「盗み忘れてますよ」と伝える被害者www
イイハナシダナー


ちなみにこの施陽、范曄の『後漢書』には見られないが(多分)『豫章列士伝』だけでなく謝承の『後漢書』にも見られる。
先にあげた『南昌郡乗』、清代の著作であるがおそらく『豫章列士伝』から引用してるのだろう。

『初学記』の引く『豫章列士伝』
舒令施陽,字季儒,宜春人也。為人沉重謐靜,清白絕俗,常以禮讓先人后己為行,稱為賢者。

『北堂書鈔』巻六十三、設官部十五、都護一百二、附監軍の引く謝承『後漢書
施陽字季儒,為監軍使,持節乘軒,從左監護騎到江夏郡,關内門,陽殺牛設酒,交臂降服。

賢者と呼ばれていたそうだ。
また、監軍使となって持節して江夏郡に至ったとか書いてある。(從左監護騎はどう読んだらいいんだろか。左監護騎に従ってor左監護騎より??)
重要そうな気がするが、記述がほとんどない謎の多い人物である。