雲子春秋

「うんししゅんじゅう」です♡ 三国志とか好きです♡

まみれた丞相車

この記事を書いた後に既視感を覚え(特に赤と白の袋のところ)、ググったらこの話はすでにT_Sさんがお書きになっていた、ので、この記事読まないで下のT_Sさんの記事読んでください。
http://d.hatena.ne.jp/T_S/20110128/1296140629

漢書』巻七十四、丙吉伝
於官屬掾史,務掩過揚善。吉馭吏耆酒,數逋蕩,嘗從吉出,醉歐丞相車上。西曹主吏白欲斥之,吉曰:「以醉飽之失去士,使此人將復何所容?西曹地忍之,此不過汙汚丞相車茵耳。」不去也。此馭吏邊郡人,習知邊塞發犇命警備事,嘗出,適見驛騎持赤白囊,邊郡發犇命書馳來至。馭吏因隨驛騎至公車刺取,知虜入雲中、代郡,遽歸府見吉白状,因曰:「恐虜所入邊郡,二千石長吏有老病不任兵馬者,宜可豫視。」吉善其言,召東曹案邊長吏,瑣科條其人。未已,詔召丞相、御史,問以虜所入郡吏,吉具對。御史大夫卒遽不能詳知,而吉見謂憂邊思職,馭吏力也。吉乃歎曰:「士亡不可容,能各有所長。嚮使丞相不先聞馭吏言,何見勞勉之有?」掾史繇是益賢吉。

前漢の丞相丙吉の馭吏(馭者)に酒好きでしばしばそのために職務を忘れる者がいた。
あるとき、丙吉に従って外出したが、酔って丞相の馬車で吐いた。
丞相府内の人事を行う西曹主吏はそのゲロ馭者を懲戒免職にしようとしたが、丙吉は「酒による失敗だから許してやってくれ。ただ丞相車が汚れただけじゃないか。」として許させた。
さて、この馭者は辺郡出身で、辺郡の塞での警備について詳しかった。
外出した際に駅伝の騎馬が辺郡の応命を入れた赤と白の袋を持っていくのに出くわした。
彼は駅伝の騎馬に着いていって偵察し、異民族が雲中・代郡に侵入したことを知った。
丞相府に戻り、丙吉に伝えた。
「おそらく辺郡に異民族が侵入しました。太守長吏の中に年老いて兵馬を任せられない者がいます。あらかじめ調べておくとよろしいでしょう」
丙吉はその言を入れ、太守等の人事を担当する東曹を召して辺郡の長吏について調査した。
まだおわらないうちに詔があり、丞相と副丞相である御史大夫が招集され、異民族が侵入したところの郡吏についての下問があった。
丙吉は馭者のおかげで準備していたので答えることが出来たが、御史大夫は当然答えられなかった。
丙吉は辺境を憂い、職を思うと称えられた。
丙吉は「士に包容できない者などおらず、みな長所がある。もしわたしがあらかじめ馭者の言葉を聞いていなかったら、どうして慰問勉励されることがあっただろうか」


☆四字熟語☆
車上嘔吐:車の中で吐いた人を許すといいことがある。転じて、汚いものを受け入れることで自分に利益があること。
っていうネタをやろうとしたらガチで中国の成語になっていたw
醉吐相茵:後以這一典故喻指?以待人必然會有好的回報。 寛容な心が良いことを招くという感じの意味。


余談
この話から西曹と東曹の役割が垣間見える。
後漢書』等では西曹が府内の人事、東曹が二千石の長吏と軍吏の人事って書かれているけど、この前漢の時点ではまさにその通りの役割を担当している。